事件当時、警察官で少年事件を担当していたので、物凄く好奇心が沸きました。 ですが、その頃は当事者の著書しか出版されず、 少年Aの両親の手記である「少年Aこの子を産んで」を読みました。 そして忘れかけていた頃、この本を知り読みました。 内容は分かりやすく事件に至るまでの過程に関して追っていますので、 概要を知りたい方には、とても読みやすく参考になると思います。 更に上記の手記とは違い、事実を基に第三者の目線で書かれていますので 両親が「何故そうなったのか見当も付かない」と言っているものの 少年は幾つものサインを出していた事も分かります。 それだけに残念に思うのです。 「俺は真っ直ぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでいた」 これだけ自分の状態を認識していたのですから。 上記の手記と併せて読んでみると子供がいる方はもちろん、 人と接する仕事をしている人に示唆するところ大だと思います。
個人的な感情や意見を交えず、極力客観的に事件を描こうという意図が強く表れている。事件に関して被害者、加害者、警察などの報道や証言、資料をもとにまとめられている。また、事件を契機に巻き起こった少年法改正の議論についても軽くふれられている。 とはいえ新聞報道的に「客観的にまとめている」だけで終わっている、のも事実。そもそも本書は「それ以上」を意図してないだろうから、「それ以上」を期待するならほかの本を読むしかない。 この事件に関しては被害者の親、加害者の親がそれぞれ著書を出しており、その他の関係する書籍も多いのでこの本とともに読むといいのではないかと思う。